前回は肺炎と風邪の違いや肺炎の原因・予防法についてお話しさせていただきました。
今回は、高齢者に特に多くみられる「誤嚥性肺炎」についてお話しさせていただこうと思います。
目次
誤嚥性肺炎とは?
食べ物や唾液などを飲み込む働きを「嚥下(えんげ)」といいます。
嚥下した食べ物や唾液などは、口から食道へと送られます。
このように、本来は食道に送られるはずのものが、誤って気管に入りこんでしまうことを「誤嚥(ごえん)」といい、誤嚥をしたときに食べ物や唾液と一緒にお口の中の細菌が肺に入り炎症をおこしたことを「誤嚥性肺炎」といいます。
65歳以上の高齢者がかかる肺炎の多くをこの「誤嚥性肺炎」であるといわれています。
飲み込む力(嚥下機能)が弱くなっているとむせないことも!
本来、気道に食べ物や唾液が間違って入り込むとむせ込むことで気管から出そうとする「条件反射」が働きます。
ですが高齢の方はこの機能や飲み込む力が弱くなり食べ物や唾液が誤って気管に入っても外に出すことが出来なくなることがあります。
私が働く施設の利用者様の話ですが、お食事をいつもしっかりとられている方でした。
もともと誤嚥のリスクがある方だったので、お味噌汁や水分にはトロミ剤を使用しトロミをつけ誤嚥の予防と食事中はむせ込みがないか注意して観察している方でした。
いつも楽しみにされており、お食事中はむせもなくご自身で食べていたのですがある時からいつもより元気がないなという状態が数日続いていました。
いつもより元気がないなという状態からだんだんお食事の量が少しずつ減っていきこのころより鼻水がよく出ていることがありました。
お熱もなく肺の音も特に悪いということはなかったのですが医師に相談しレントゲンを撮ることに。
この時は、レントゲンを撮ったことで肺炎がわかりました。
この時の利用者様からのサインが「いつもより元気がない」ことと「鼻水が出る」という二つでした。
高齢者の方の「肺炎」は見つけにくく早く気付き対応しないと命に関わるんだということを強く意識した体験でした。
誤嚥性肺炎は予防が大切!
誤嚥性肺炎は起こさないように予防がとても大切です。
1、歯磨きをしよう!
以前、肺炎の予防法でもお話しした歯磨き。
最近を増やさないお口の中を清潔に保つことは誤嚥性肺炎を予防するためにも欠かせないものです。
飲み込む力(嚥下機能)が弱くなっている高齢の方はうがいもリスクがありとても危険です。
水道水で濡らしたガーゼやスポンジブラシを使用することやお口の乾燥が気になる方には口腔用のジェルを使用することをおススメします。
2、「パ・タ・カ・ラ体操」をしよう!
飲み込む力(嚥下機能)を保つために毎回の食事の前に私が働く施設で行っているのが嚥下体操です。
今回はその中の「パ・タ・カ・ラ体操」をご紹介したいと思います。
単純に、パパパパパ・タタタタタと一文字ずつ5回繰り返し声に出し行います。
口や舌の動きを意識して行うことが重要です。
パタカラ体操の方法と効果
➀パ
発音のコツは口をしっかり閉じて行います。
唇を開け閉めする力を強くする効果があり、吸い込む力や唇をしっかり閉じることで食べこぼしを予防できます。
②タ
舌を上あごにくっつくように発音します。
下の先の力を強くする効果があり、食べ物をつぶし食べ物を喉のほうへ送り飲み込む操作を助けてくれます。
③カ
発音のコツは舌のつけ根を上あごに押し付けのどの奥を意識し発音することが大切です。
のどの奥に力を入れ、一瞬呼吸を止めることで、食べ物を飲み込む動作が出来るようになります。
④ラ
舌の先を丸め上あごにつけながら発音することを意識することがポイントです。
どの音も「大きな声で」「一文字一文字」「はっきり」意識して声に出すことが大切なポイントです。
「パタカラ体操」にはこんな効果も!
・噛む力や飲み込む力が維持できる
・唾液の分泌が促される
・いびきや歯ぎしりが改善する
・口呼吸から鼻呼吸になり、口臭予防になる
・入れ歯が安定する
・小顔効果や顔のたるみがなくなる
など、安心してお食事が出来るようになることといびきや口臭予防にも役立つ「パタカラ体操」をぜひ取り入れてみてください。
最後に
高齢の方はわかりやすい症状が出てしまったときには重症のことも多くあります。
いつもと違うということはいつも一緒にいるご家族様が一番気付けるポイントだと思います。
そして、日々予防していただくことで「誤嚥性肺炎」を起こさないことが一番大切なことです。
今回、ご紹介させていただいた体操以外にも「嚥下体操」はたくさんあります。
取り入れやすい体操からお食事前に取り入れていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。