今までの認知症の症状の中では認知症の中には不快に感じたことや嫌な思いをしたことが強く残るとお話しさせていただきました。
今回は、認知症の方に心に嬉しかった記憶を残し安心感を与えることが出来るユマニチュードという関わりの技術をお話しさせていただこうと思います。
目次
ユマニチュードとは?
「認知症の方とうまくコミュニケーションが取れない…」「どう接していいかわからない」
そんな時に使える技術です。
ユマニチュードとは、ケアを行う認知症の方を一人の人間として向き合うことから生まれる認知症ケアです。
実践すると、これまでうまくクミュニケーションがうまく撮れなかった認知症の方と、うそのようにスムーズにコミュニケーションが取れるようになることから、魔法の認知症ケアと呼ばれています。
このケアの創設者はイブ・ジネストとロゼット・マレスコッティという2人のフランス人で、彼らの35年の体育教師としての考え方と経験から生まれた治療法です。
ユマニチュードの4つの柱
![](http://ninchisho-kango.com/wp/wp-content/uploads/2019/10/ユマニチュード3.png)
ユマニチュードとは「見る」、「話しかける」、「触れる」、「立つ」の4つの基本柱を組み合わせて行います。
これを組み合わせて視線の高さや話し方、さらに体絵の触れ方を意識することで、「あなたのことを大切に思っている」ということを伝える技術となり、人間らしさを取り戻すための働きかけにもなります。
では、4つの柱を具体的にお話しさせていただきます。
見る
認知症の方のケアの中で「見る」という行為はとても重要です。
同じ高さ彼目線を合わせることで平等な関係性であることを、正面から見つめることで相手への誠実さを伝えることが出来ます。
例えば、寝たきりの方に対しても上からではなく、必ず腰を落として目線を合わせることが重要です。
また目線を負わせる時間ですがユマニチュードでは0.5秒以上必要と言われています。
話しかける
話すときは、ゆっくりと穏やかに話すことや前向きな言葉を心がけます。
相手から反応がない場合には、コミュニケーションが途絶えないように、自分の手の動きを実況中継します。
これを「オートフィードバック」と呼ばれ、言葉を絶やさない工夫が必要です。
触れる
相手に触れる動作は、「タッチング」とも呼ばれ、認知症の方に安心感を与えます。
触れるときのポイントとして、
・包み込むようにやさしくゆっくりと触れること
・最初は敏感な場所は避け肩などから手のひら全体で触ること
・パーソナルスペースに注意すること
が大切です。
立つ
立つことで、筋肉を使うのはもちろん、呼吸器系や循環器系などの機能が活発になります。
立つことが出来る方には、清拭やリハビリの際に立つ動作を入れることで、
視野が広がり、「自分がここに存在している」という自覚を認知症の方に持っていただくことが出来ます。
ユマニチュードを実践してみよう!5つのステップ!!
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ポジティブな感情をお互いに抱くための5つのステップをお話しします。
「人と人の関係、絆の質」を大切にし、実践していきます。
1、出会いの準備(来訪を伝える)
人と人とのコミュニケーションは出会いから始まります。
なので、第一印象を大切にします。
方法として、ドアを3回ノックして3秒待つ、そしてもう一度繰り返します。
3回ノックすることで相手に来訪を伝え、3秒待つことで相手に考える時間を与えるといわれています。
2、ケアの準備(相手との関係性を築く)
まず、「あなたに会いに来た」ということを伝えます。
正面から近づき、目と目を合わせます。また、目が合って3秒以内に話し始めるのもポイントです。
3、知覚の連結(心地よいケアの実践)
次に、見る・話す・触れることを使いケアを行います。
大切なのは、「あなたを大切に思っています」ときちんと伝えることです。
4、感情の固定(ケアの心地よさを相手の記憶に残す)
感情が伴う記憶は、認知機能が低下した方にも最後まで残るといわれています。
「あなたと過ごせて嬉しかった」と心から伝えることで、ケアを素敵な体験として感情記憶に残すこと。
また、気持ちよくケアを終えられたことをお互い確認しあい、そのうえで次のケアにつなげていくことが大切です。
私は、よくトイレの介助やお風呂の介助の後に、「(ケアをさせていただき)ありがとうございました」「気持ちよかったですね」とお伝えさせていただいています。
自然とご利用者様からも「ありがとう」「あなたでよかった」と笑顔で言っていただけると私も嬉しくなります。
5、再開の約束(次回のケアをスムースにするための準備)
今までケアを通し認知症の方の感情記憶に残すための大切なポイントです。
どうしても、認知症の方に「また来ますね」と伝えるだけでは印象に残りにくいです。
ですが、上記で認知症の方の感情記憶に残すようなケアをしていることで「自分に優しくしてくれた人がまた会いに来てくれる」という期待感や喜びの感情となり記憶にとどめることが出来ます。
「この人ならいい時間を過ごせる」と思っていただけるようにするためこの5つのステップは丁寧に進めるといいです。
最後に
![](http://ninchisho-kango.com/wp/wp-content/uploads/2019/10/ユマニチュード2.png)
このユマニチュードというケアの方法は認知症の方への効果だけでなく私たち介護所の心も穏やかにしてくれる効果もあると考えます。
私も、ユマニチュード知り実践することで気持ちが穏やかになったと感じています。
ケアを受ける人もケアを行う人もどちらもが穏やかな介護生活を過ごせるといいすね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。