今回は、介護を行う施設やご自宅で注意が必要な疥癬についてお話させていただければと思います。
目次
疥癬とは
疥癬は、体長0.4㎜程度の極めて小さなダニ(ヒゼンダニ)が皮膚の角質に寄生することによって発症する皮膚の病気のことを言います。
ヒゼンダニは、角質の中で「疥癬トンネル」という横穴を掘り、その中で卵を産み増えていきます。
皮膚と皮膚がえっ食することによって人から人へ感染してしまうこと、潜伏期間が1から2か月ということが特徴です。
原因となるヒゼンダニの特徴としては
熱や乾燥に弱い(乾燥機程度の50度の温度で10分ほど乾燥機にかけると死滅します)
人の皮膚を離れると長生きできない(ただし、25度で湿度が90%の条件が整うと3日間程度生存可能)
人肌の温度でないと動きが鈍くなる
という特徴があります。
疥癬の症状
疥癬の症状では、強い痒みを伴うことが特徴です。
また、丘疹(皮膚の表面が小さく盛り上がった状態)などの湿疹が手のひらや指の間、陰部、お腹、肘やひざの関節の内側など皮膚の柔らかいところに出来るのも特徴の一つです。
特に、男性の陰部に疥癬が発症した場合小さなしこりが出来ることもあります。
症状をまとめると
夜間(お布団に入って)入眠後にかゆみが増強する
丘疹などの湿疹やしこりがある
家族にも同じような症状がある
これらがあるときには診察を受け適切な薬や治療を受けましょう。
かゆみはアレルギー反応からくるもののため、半年ほどかゆみが続いてしまうこともあり早い受診と治療が感染を予防するためにも必要となります。
ご家族様が感染した時の対応
感染経路としては、皮膚と皮膚が調子感触れることです。
その他でも、寝具や衣服、ペットからの感染も考えておく必要があります。
かゆみに対して
強い痒みが伴うことが多いためその都度お薬などで調節する。
また、掻くことによって痒みは強くなることや掻き傷から感染してしまう危険性があるためご本人様にも説明し掻かないように注意する必要があります。
感染対策
疥癬にかかっているご本人様との皮膚と皮膚の触れ合いをへらす
衣服や寝具、タオルなどの共有は行わず、ご本人様専用にする
衣服を選択する際には、50度以上のお湯に10分以上つけおきしてから選択をする
衣服やシーツなどは毎日交換し洗濯をする
洗濯した衣類をアイロンがけする
部屋をこまめに掃除し、換気を行う
手洗いをこまめに行う
などの感染対策を行うおことで、家族間でうつる危険性は減ります。
疥癬の中でも感染力が強い角化型疥癬(ノルウェー疥癬)
疥癬の中には、通常型疥癬と角化型疥癬の2種類があります。
通常型疥癬は感染力が弱いために予防を行うことで、周囲の方へ感染することを予防することが出来ます。
ですが、この角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、感染力が強いことに加えて感染の原因となるヒゼンダニの数もとても多いという特徴があります。
また、潜伏期間も4日から5日短いということも特徴です。
・角化型疥癬が発症する部位
かさぶた上の発疹が肘や膝、手足、臀部、爪に出来ることが特徴です。
特に、爪に出来てしまうと水虫と見分けがつけにくいため注意が必要です。
・ヒゼンダニの数が多い
ヒゼンダニの数は、通常型疥癬では1000程度に対して、角化型疥癬では100万~200万ととても多く寄生しています。
・感染力が強い
感染対策は、通常型疥癬と大きくは変わりませんが感染力が強い点から個室で過ごしていただくことが望ましいです。
これは、皮膚から落ちらかさぶたにも、多くのヒゼンダニが存在しているため同じ部屋にいているだけで感染してしまう危険性があるためです。
ご本人様に関わる際には、手袋や防護できる服を繰るなどの対応、手を洗うなどの対策がとても大切です。
・感染しやすい方
高齢者や終末期にある方、副腎皮質(ステロイド)ホルモンや免疫抑制剤を使用中の方など免疫力が低下している方が発症してしまいやすく、また重症化してしまうことが多くあります。
最後に
疥癬には、通常型疥癬と角質型疥癬の種類があること違いを知ることによって日ごろからの予防を行いましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。