入浴は身体をせいけつに保つだけでなく、心と体を癒すための大切な時間です。
ですが、体力の低下や身体機能の衰えからおっくになったり認知機能の低下からお風呂を認識できなかったりとお風呂に入りたがらないということがあります。
また、介助をするご家族様も転倒のリスクや介助の難しさに悩まれることが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高齢者の入浴介助と注意点についてお話させていただこうと思います。
目次
お風呂に入ることの効果
お風呂につかることで清潔を保つほかにもいろいろな効果があります。
リラックス効果
38度程度の温度のお湯につかることで「副交感神経」が優位になります。
副交感神経が優位になると、心拍数や呼吸のリズムが落ち着きリラックスした状態になります。
そして、質の良い睡眠につながります。
認知症の予防
お湯の中につかることで血流が促進され、脳への血流も増えるといわれています。
そして、脳への血流が増えることで認知症の予防が期待できるといわれています。
細胞の修復促進
お湯につかることで、身体に熱によるストレスがかかります。
熱のストレスが体にかかると「ヒートショック・プロテイン70(HSP70)」が増え、傷付いた細胞を修復してくれます。
この「ヒートショック・プロテイン70(HSP70)」は、細胞の損傷を防ぐたんぱく質の一つで私たちの身体の中には、このたんぱく質を生み出す力が備わっています。
入浴前に確認するポイント
入浴をする前にはご本人様の状態が入浴していい状態なのかを確認しておくことが大切です。
食前・食後は避ける
私たちも食後すぐにはいったり、お腹が空いたときに入ったりすると気持ちよくお風呂に入れないのではないでしょうか?
身体の変化としても、空腹の状態で入浴すると、脱水や血糖値の低下から貧血やめまい、立ち眩みを起こし転倒のリスクが高まります。
そして、食後すぐの入浴は、消化のため胃に集まる血液が湯船につかり体が温まることで全身に循環してしまいうまく消化が出来ない状態になってしまいます。
ご本人様の状態をチェックする
体調が悪いときに入浴してしまうと悪化させてしまうことが容易に考えられます。
そのため、入浴の前に体温・脈拍・血圧の測定を行い体調の確認をしましょう。
そしてご本人様の顔色や表情を見ていつもより元気がないなと感じたらその日の入浴は控えることをおススメします。
体調不良からお風呂に入れない状態が続いたときには、温かいタオルで体を拭くことや手浴・足湯(足浴)をするといいです。
ヒートショックを予防しよう
「ヒートショック」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
部屋と脱衣所浴室の温度の差があると、血圧や心拍が急激に変動し真相や血管に負担がかかり心筋梗塞や脳卒中を引き起こす原因になり、これを「ヒートショック」といいます。
特に冬場は、25度を目安に脱衣所や浴室を温めてから入浴することが大切です。
無理強いをしない
以前に別の記事でお話させていただいたことがあるのですがご本人様のいい持ちを無視してお風呂に入ってしまうと「寒かった」「嫌だった」等気持ちをご本人様に残してしまい、気持ちのいいお風呂の時間が嫌な時間になってしまうことがあります。
そのため、ご本人様が嫌がる時には時間をおいてみることや一日ぐらいはいらなくてもいいという気持ちを持つことも大切です。
入浴の方法とポイント
洋服を脱ぐ
洋服を脱ぐ時は出来る限りご本人様にしていただきズボンから足を抜くなどの出来ないところを手伝うようにします。
そして、裸になったときには体に打ち身が無いか、傷が出来ていないか、床ずれ(褥瘡)は出来ていないかなどの観察をする機会なので見ておきましょう。
軽症の時に見つけることで悪化を防ぐことが出来ます。
シャワーチェアーを使う
シャワーチェアーを使うことで滑りにくく、安心して体を洗うことが出来ますしご本人様に身体を洗ってもらうなどご自身で行ってもらうことが増えます。
そして、シャワーチェアーがあると浴槽につかる際、立って湯船の淵を跨ぐより座った状態で片足ずつ跨いで入る方が安定し、転倒の危険も減らすことが出来ます。
足元からかけ湯をする
心臓から一番遠い足元から全身へお湯をかけることで心臓への負担を減らし、急激な血圧の変化を予防することが出来ます。
頭→顔 → 全身の順で洗う
基本は、ご自身で洗ってもらうことがいいですが背中や足元など手が届きにくいところはお手伝いします。
石鹸の泡が残っていると滑りやすくなり転倒のリスクが高くなるため、身体を洗ったらすすぎ残しが無いようにしっかりお湯で流しましょう。
浴槽につかる時は短めに
湯船につかる時間は目安として5分程度といわれています。
長湯をしてしまうと、脱水や疲労の原因になってしまうため避けた方がいいでしょう。
入浴後のポイント
浴槽から出るときは急に立ち上がらない
急に立ち上がることで脳への血液の量が少なくなることで脳が貧血状態になってしまいます。
これにより、立ち眩みや意識障害を起こしてしまうこともあるため浴槽から出る際は手すりなどを使用しゆっくり立ち上がるようにしましょう。
特に足元をしっかり拭こう
特質や脱衣所の床が濡れていると転倒の危険が高まります。
そのため、足元から拭き全身もしっかり拭くようにしましょう。
身体を拭く洋服を着る際は安定した椅子に座り行うことでより転倒のリスクをへらすことが出来ます。
最後に
お風呂に入るときにはご家族の方は特に気を付けられていると思います。
入浴は、事故や転倒のリスクが多いため安心して入るためにリフォームを考える方も多いと思いますがなかなかお金がかかります。
そのため、まずは介護保険が適応されるシャワーチェアーや滑り止めマットなどの「特定福祉用具」を利用しつつ安心して入浴が出来ればいいですね。
お風呂の時間がリラックスの出来る時間になりますように。
最後まで読んでいただきありがとうございます。