前回は、認知症とせん妄の違いやせん妄の原因についてお話しさせていただきました。
今回は、「せん妄」を起こした際に起こる症状や対応と予防についてお話しさせていただこうと思います。
目次
「せん妄」でよく見る3つの症状
せん妄の症状の中でよく起こる3つの症状を上げてみたいと思います。
➀注意障害
1つ目は「注意障害」といい、注意力が散漫になり集中できない状態です。
②見当識障害・記憶障害
時間や自分がどこにいるのかがわからなくなる状態を言います。
③知覚障害
幻覚や幻聴が現れます。幻覚や幻聴が認めている時は、興奮した状態が多くご自身や周りの方にケガを負わせてしまう危険性があるため注意が必要です。
今あげた3つの症状以外にも、意識障害や気分や情動の障害とありご家族様が「認知症が急に悪化した」と感じる要因になります。
「せん妄」の対応!
「せん妄」を起こしてしまったときの対応を上げたいと思います。
➀まずは落ち着く
初めて「せん妄」を起こしているご本人様を見て、ご家族様や周りの人は慌ててしまうと思います。
ですが、慌ててしまうとより「せん妄」を悪化させてしまうため慌てず冷静な対応が必要になります。
②様子を見守る
興奮している、大声を出している、暴れている時にご本人の行動を無理に止めようとすると悪化してしまいます。
また、興奮したご本人に触れることでお互いにケガのリスクが出てくるため危険なものを避けて危なくない環境を作ったうえで見守るようにしましょう
③場所や時間を伝える
見当識障害を起こしている方に有効です。
今いる場所や時間を伝えることで安心して過ごすことが出来ます。
また、ペットやご家族様の写真を飾っておくことも良いといわれています。
「せん妄」を予防しよう!
➀今の状況やこれから起こることをしっかり伝える。
時間や日にちがわかる工夫が大切です。
日ごろから、目のつくところにカレンダーや時計を置くことも良いと思います。
使い慣れたものがあると環境が変わっても安心して過ごせるアイテムになります。
そして、日々の生活の中で入院などのいつもと違う予定が決まったら今後起こってくるスケジュールを丁寧に説明してご本人に理解しておいてもらうことが大切です。
前回の記事で上げた認知症の方の例のように短期記憶が苦手なためすぐ忘れてしまうことがあります。
どうせ覚えていないのだからと思わず何度も説明し理解を得ることがとても大切です。
ご家族様にとっては根気がいりますし大変なことだと思いますがこれは「せん妄」を起こさないために私はとても重要なことだと考えています。
ちなみに、例に挙げさせていただいた利用者様は「せん妄」を起こさず過ごされています。
②感覚を遮らない
目や耳などの人が持つ五感を遮られてしまい情報が入ってこない状態は大きなストレスとなります。
普段、補聴器や眼鏡を使用しているのでしたら必ず身に着けるようにしましょう。
③日中の過ごし方を見直す
「せん妄」を起こしてしまうきっかけの一つと言われている昼夜逆転(睡眠や覚醒リズムの乱れ)を起こさない工夫が大切です。
介護を主に行っていら方がお仕事もさえている方は難しいかもしれませんが、なるべく日中に起きて夜間はゆっくり休める環境を作りましょう。
日中に起きてもらうために、日中はカーテンを開けお部屋を明るくすることやお散歩に行くこと、好きな音楽やテレビ、ゲームなど趣味があれば行える環境を整えることもいいと思います。
④就寝時の明かりに注意する
真っ暗な部屋でないと寝れないという方もいると思いますが真っ暗の部屋で寝ようとすると不安になってしまいます。
寝る時には真っ暗にせず足元に明かりをつけるなどの工夫が大切です。
⑤「いつもと違う」に注意しましょう!
「なんとなく様子がおかしい」、「おトイレの回数が少ないまたは多い」、「ボートしていることが増えた」、「つじつまの合わないことを話す」など些細なことでも見逃さないことが大切です。
日ごろから介護をされているご家族様だから気付けることがたくさんあります。
入院中でしたら医療スタッフにご自宅でしたら一度かかりつけの医者にご相談されることもオススメします。
最後に
突然起こる「せん妄」ですが、認知症と違い「いつからいつまでと期間が限定できる」ことや「早い段階で気付くことや予防をすることで起こさない」こともできます。
認知症をお持ちでその介護をしている方からしたら何度も説明したのにと思われてしんどくなることもあると思います。
そして、突然認知症が進行したように見える「せん妄」を起こしてしまうとより疲れてしまいうこともあると思います。
そんな時、“説明し理解できれば「せん妄」は予防できる”、“認知症だから忘れてしまっても仕方ない”と思う気持ちでご本人とお話しするとお互いに穏やかに話すことができるのではないかなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。