今回は、「レビー小体型認知症」の症状についてお話しさせていただこうと思います。
目次
レビー小体型認知症って何?
レビー小体型認知症は、脳の中に「レビー小体」という異常なたんぱく質がたまり、大脳皮質の後頭葉や頭頂葉が萎縮し起こる認知症です。
「レビー小体」というたんぱく質は、100年以上前にパーキンソン病の患者様の脳幹から発見されたためパーキンソン病の特徴だと考えられてきました。
ですが60年後、日本の医師である小坂 憲司医師により発見され1996年に診断基準が確立された認知症です。
前回お話しさせていただいた「脳血管性認知症」と同じで女性より男性に多くみられる認知症といわれています。
レビー小体型認知症の症状は?
➀幻視
「幻視」とは、そこにあるはずのないものが見えることを言います。
これは、脳の新鋭細胞が徐々に減っていき、特に記憶に関連した側頭葉と情報処理を行う後頭葉か萎縮するために起こるといわれています。
私が働いていてよく聞くのは、ベッドの足元で寝ている利用者様が「小さな女の子が寝ているから」と言われたり、「あそこ!そこにいっぱいピンクのつってるでしょ!?」などなどいろいろ訴える方がいらっしゃいます。
私たちには見えないため「見えないですよ?」と否定したくなりますが、ご本人にはそこにはっきりと人や物が本当に見えています。
また、ほかの認知症とは違う特徴として、壁のシミが人の顔に見えたり、布団が動物に見えてしまう「錯視(見間違い)」も現れるため対応には注意が必要です。
②パーキンソン症状
パーキンソン病と同じ症状の「仮面様症状」、「小刻み歩行」、「手足の震え」などの症状が現れるのもレビー小体型認知症の特徴です。
これを「パーキンソニズム」といいます。
具体的な症状として、身体が固くなり動きが遅くなったり、手足が震えたり、姿勢をまっすぐ保てなくなり前傾姿勢になる、バランスを崩しやすくなります。
歩き方としては、前かがみで小刻みに歩く、突進して止まれなくなるなどの特徴もあります。
転倒のリスクもとても多くなるため、転倒から寝たきりになりやすくなります。
③レム睡眠行動障害(RBD)
夜中に突然大声を出す、動いてしまうといった症状のことを「レム睡眠行動障害」といいます。
レム睡眠といえば本来は筋肉の緊張が緩んでいる状態ですが何らかの原因で筋肉の緊張が緩まないことによりレム睡眠障害は起こります。
④薬剤性過敏症
薬が効きすぎたり、なかなか薬の効果が消えず残ってしまうことを「薬剤性過敏症」といいます。
この、「薬剤性過敏症」はレビー小体認知症の特徴的な症状になります。
もともと、高齢になると薬が残りやすく効きすぎてしまうこともあります。
薬剤性過敏症では、薬が効きすぎてしまい、血圧が低下し危険な状態になることも考えられるため注意が必要です。
⑤脱水
のどの渇きを感じにくいことや飲み込む力が弱くなるために水分をとることを控えてしまうため脱水になりやすいと言われています。
脱水は、幻視や錯視の症状を悪化させてしまうため飲水を促すなどの関わりが大切です。
⑥認知機能障害
「認知機能障害」とは、「いつ」、「どこで」といった状況を把握することが難しくなり、会話での理解力が低くなった状態を言います。
この状態は、良い時と悪い時にむらがあるのも特徴の一つです。
例えば、しっかりお顔が上がりはきはきと質問に答えていたのに数時間後にはぼんやりしていて表情もなく質問に対してもはっきりとした答えが返ってこないということもあります。
最後に
今回は、「レビー小体認知症」についてと症状についてお話しさせていただきました。
次回は、症状別の関わり方について会話しさせていただこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。