前回、「レビー小体型認知症」についてと症状についてお話しさせていただきました。
「レビー小体型認知症」は、幻視・幻覚がありまた、パーキンソン症状などの身体症状が現れるためほかの認知症疾患とは違ったケアの方法が必要になってきます。
そこで、「レビー小体型認知症」の症状に対してのポイントやケアの方法についてお話しさせていただこうと思います。
目次
関わり方ってどうしたらいいの?
➀幻視・幻覚
レビー小体型認知症の方の特徴として、リアルに幻視や幻覚が見えているということがあります。
そのために、普通では考えられないようなお話をされたり行動をされるため周囲の介護者は驚くことが多くあります。
見えないものが見えると言われた時、「何も見えないですよ。」や「何を言ってるの?」と否定したくなると思います。
ですが否定をしてしまうということは、認知症の方の人格否定(そんな風に思っていなくても)につながり、認知症の方を傷つけてしまいます。
そして、話しても信じてもらえないと感じてしまわれると幻視が見えていても隠そうとされ、「どうせ信じてもらえないし」と何も話してもらえなくなります。
幻視に対してのケアで大切なポイントは「否定しない」ということです。
どんなものが見えていて、体験しているのか同じ目線に立ち向き合い詳しくお話を聞いて共感すること。
これにより、認知症の方の心の状態が落ち着きます。
ただし、「ほんと!〇〇が見える!!」と無理に調子を合わせて肯定する必要はありません。
「あなたには見えているのを私は信じている」という姿勢が大切です。
自分が見えているものに対して、周りが理解してくれているんだと認知症の方に感じていただけると、安心して不安な気持ちを話してくれるようになってきます。
例えば、落ち着いた状態の方でしたら、「お父さんが来てね…」など嬉しそうにお話ししてくださる利用者様もいらっしゃり、「よかったですね」と声を掛けると「そうなの」と満面の笑顔で答えてくれます。
信頼関係を築く大きなきっかけにもなりますし、信頼関係を築けると毎日のケアをスムーズに行うことが出来ます。
幻視については薬で減らすこともできますが、すべてなくす必要はないです。
そして、認知症の方が幻視とうまく付き合っている状態を保つことが大切だと考えています。
幻視につながる錯視は薄暗くなる夕方や夜間に現れることが多く、壁や物が人の顔に見えることから始まることもあります。
・人の顔に見間違えてしまうものがあればかたずけておく
・夕方や決まった時間に起こるなどリズムがつかめればその時間にまでに用事を済ませておきゆっくり過ごせる時間を作る
などの対策も有効です。
②パーキンソン症状
身体が固くなる、手足が震える、姿勢が保てず前傾姿勢になりバランスを崩しやすくなる。
このような症状で、介護者の私たちが一番怖いのは転倒ではないでしょうか。
歩いている時、ご本人はまだまだ歩けると感じていても歩いている姿を見ている介護者からすれば手足が震えていて小刻みに歩かれている姿は見ていていつ転倒してしまわないかひやひやしてしまいますよね。
重度になると、車椅子に座っていても前傾姿勢が強いために車椅子から転落という危険もあります。
そこでケアとして大切なポイントは転倒予防になります。
・足浴(足をお湯につけて温めること)やマッサージをし、冷えを取り筋肉の緊張をほぐす。
・安全な状態で歩行のリハビリを行う。
・ベッドの周りに物を置かない、マットを引き転倒後の骨折を予防する。
などの予防が大切です。
ここで、間違ってはいけないことは転倒予防のため歩かせないという選択をしてしまうことです。
歩かなくなると、症状はどんどん進行してしまうためその方の状態に合わせてトイレの時だけでも歩いてみるなどの工夫が必要です。
次回につづきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。