今回は、「脳血管性認知症」の特徴についてお話しさせていただこうと思います。
目次
脳血管性認知症とは?特徴は??
脳血管性認知症の特徴としては、アルツハイマー型認知症とは違い、脳の神経細胞が減少して起こる「変性性認知症」ではなく脳梗塞や脳出血などの「外的要因」が原因で起こる認知症のことを「脳血管性認知症」といいます。
事故などで脳に外傷を受けた後から、発症することもあります。
経過としては、脳梗塞などの発症を機に段階的に進行していくのも特徴です。
女性と男性では男性の方が2倍近く多いと言われておりなおかつ生活習慣病を持たれている方に多いです。
また、発症する年齢が幅広く20歳代の若い人から高齢者までの様々な年齢の人で発症します。
脳血管性認知症になりやすい方の特徴として、
・糖尿病の既往がある
・心房細動(不整脈)を持っている
・高血圧である
・メタボリックシンドロームをわずらっている
・煙草を吸っている
・睡眠時無呼吸症候群を起こしている
などがあげられます。
脳血管性認知症で起こる症状は?
➀運動症障害
「手のしびれ」、「失語」、「尿失禁」、「呂律が回らない」など脳血管障害により損傷を受けた脳の部位により、様々な運動機能の障害が起こります。
そのため、脳の中の言語に関わる部分に障害が起こると「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」などが出来なくなります。
②抑うつ状態
特にこの症状は初期に多く、「できないこと」、「わからないこと」の自覚があるために自分自身にショックを受け起こります。
③感情失禁(情緒調節障害)
感情がコントロールできないためすぐ泣いたり怒ったりします。
これは、感情の機能をつかさどる前頭葉の血流が阻害されることが原因です。
「きょうは天気がいいね」と聞いただけで泣いてしまうこともあり、悲しくなくても涙を流される場合もあります。
笑っていたのに、声を掛けると突然起こってしまう、そんなことも珍しくありません。
④まだら認知症
脳血管性認知症はほかの認知症と症状の現れ方におおきな特徴があります。
突然症状が現れたり、落ち着いていると思うと急激に症状が悪化するということを繰り返し、一日の間での変動も大きいのが特徴です。
これは、脳梗塞などにより壊れた細胞と壊れていない細胞があるために起こります。
また、脳の血流によっても症状は左右されるため、午前と午後で様子が違うということもあります。
ケアのポイントは?
脳血管性認知症の方へのケアは、一日のうちで出来るときと出来ないときがある「まだら認知症」があるためにケアのポイントを掴むことがとても難しくなります。
また、脳血管性認知症の方は、ご自身が認知症であることを自覚されているため心のケア(うつ症状に対してのケア)が大切になります。
➀小さな変化も見逃さない
介護を行うときには、ご本人からのサインにいち早く気付き、見逃さないことがケアのポイントと言えます。
例えとして、普段できていたことが出来ない時間が増えた、「ボー」としている時間が多くなったなど、些細な変化かもしれませんが新しい脳梗塞や脳出血が起こっていることもあります。
②生活習慣を見直す
脳血管性認知症を発症された方の原因として「生活習慣病」があげられます。
そのため、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレスをためない生活を心がけることが大切です。
また、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群を発症されている方は医療機関を受診し、内服などの治療を行うことも必要となります。
③リハビリを行う
脳血管性認知症の方は、脳が障害を受けた部分により歩行障害や手足のしびれ、片麻痺、言語障害などが現れます。
そのため、歩行障害などの運動機能に障害があるようなら理学療法士、言語障害があれば言語聴覚士と症状に合わせたリハビリを行う必要があります。
リハビリを行う際は、少人数で楽しく行えるよう配慮することも必要です。
最後に
脳血管性認知症は、発症年齢が幅広く生活習慣が原因となることが多いです。
また、脳梗塞や脳出血は再発のリスクがあるため再発を繰り返すことで症状がさらに悪化するというのも特徴です。
ケアを行う際は、その方の年齢や現在患っている疾患なども考慮し行う必要があります。
また、心のケアや認知症の方が出来ないことを見極め出来ないことに対し手を差し伸べケアを行っていくことが大切だと私は考えています。
難しいですが、一人ひとりに寄り添ったケアが行えるといいですね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。