認知症には「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「前頭側頭型認知症」、「レビー小体型認知症」の大きく分けて4つあります。
今回は、その一つであり、認知症の4つの中で特に女性に一番多いと言われている「アルツハイマー型認知症」についてお話しさせていただこうと思います。
目次
アルツハイマー型認知症って何?
アルツハイマー型認知症は潜伏期も含めると長期にわたってゆっくりと経過する病気です。
徐々に進行していく原因は、脳の神経細胞が減り、脳が萎縮していくためです。
では、なぜ脳は萎縮してしまうのでしょう?
アルツハイマー型認知症の原因はまだはっきりとした研究結果は出ていませんが、今注目されているのは「アミロイドβ」というたんぱく質が脳の細胞の周りにたまることが原因ではないかといわれています。
この、「アミロイドβ」というたんぱく質は簡単に言うと「ゴミ」です。
健康な状態の脳の中でも作られるたんぱく質ですが、毎日分解され消えていくため健康な状態の脳ではたまることはありません。
ですが、何らかの原因で分解されずに脳の細胞の周りにたまってしまいます。
これを「老人班」といいます。
「アミロイドβ=ゴミ」がたまり続けることでさらに頑固なゴミの「タウたんぱく」という健康な脳では作られないたんぱく質が作られ始め、脳神経細胞を攻撃し脳の萎縮に繋がります。
アルツハイマー型認知症の特徴は?
アルツハイマー型認知症の特徴として、「混乱期」、「依存期」、「昼夢期(ちゅうむき)」の3期に分類することが出来ます。
これらは、必ず進行していくものですが治療をしないと介護が難しくなり、脳の萎縮がさらに悪化してしまい、身体はまだ動くはずなのに、動けるはずなのに、認知症の方のADLを低下させ、寝たきりになり介護の負担が増えることに繋がります。
ADL(日常生活動作)
「Activities of Daily Living」の略で、「歩く」、「食事をする」、「服を脱ぎ着する」、「排泄する」、「入浴する」などの日常生活の中で不通に行う活層のこと。
適切なケアをするためには今、利用者様がどの状態で3期のうちどの期にいるのかを見極める必要があります。
そこで、3期の特徴と見極めるポイントをお話ししていきます。
➀混乱期
利用者様が今どの期にいるのか見極めるポイントとして一番分りやすいのは利用者様の表情です。
混乱期の方でしたら、
・いつも苦しそうな、怒った表情。
・常に、眉間にしわを寄せている。
・目つきが険しく、目を合わせない。
・眉が吊り上がっている。
この4つがポイントといえます。
そして、特に注目するポイントは眉間のしわだと言えます。
混乱期の利用者様は起こっている理由や恐怖を感じている対象がわかりにくいため、怒りや不安を訴えておられても会話が成立せず私たちも中々理解してあげることが難しくなります。
この時の介護としては利用者様が落ち着くまでは過度の介入はおこなわず、接触も最低限に縮めることが必要です。
遠くから、「危なくないかな?」、「変わった様子はないかな?」と観察するといいと思います。
そして、少し落ち着いてきたタイミングでお散歩や体操など体を動かすなど、日中を快適に過ごすケアを心がけます。
ご自宅でも同じですね!
②依存期
次に依存期の特徴です。
・怒っている時でも、困ったような表情をしている。
・眉が八の字に垂れ下がっている。
・目じりが下がり、おどおどした目つき。
この3つが特徴といえます。
ですが、依存期では眉間のしわはまだ残っています。
この時期の利用者様は「甘えたい」という気持ちが強く介護者のことをよく見ています。
そして、訴えが具体的ではっきりしていることも特徴です。
その時に感じた気持ちをそのまま伝えてくださるため、共感し受け入れることが大切になります。
そして、落ち着くようであれば利用者様から介護者が見える位置にいていただき、「ご飯がもうすぐきますよ」、「今から○○がありますよ」などの声掛けを行うことも有効です。
③昼夢期(ちゅうむき)
最後に昼夢期の特徴です。
・ぼんやりとした穏やかな表情。
・眉間のしわがなくなる。
・笑顔が見られるようになる。
この3つが特徴ですが今までと大きく違うのは「眉間のしわがなくなる」ことだと言えます。
また、今までの「混乱期」や「依存期」には見られなかった笑顔が多くみられるようになります。
そのほかの特徴として、時間の感覚がなくなり子供の頃に戻ってしまったり、同じことを何度も繰り返すようになります。
意識ははっきりしているため声掛けに対してすぐお返事を下さいますが幻覚も見えるようになりこの幻覚は「楽しい」という特徴もあります。
介護のポイントとしては、「利用者様が感じている時間に合わせてあげること」です。
例えば、利用者様で30代のスタッフに対して「私のいとこなの」、「○○ちゃん!このこと私は同級生やねん」、「この人私の女学校時代の先生」といわれることもしばしば!!
そんな時はお話を合わせて聞くこともあります。
最後に
今回は、アルツハイマー型認知症の「混乱期」「依存期」「昼夢期」についてお話しさせていただきました。
ご自宅でも参考にしていただき、認知症の方との関わり方に少しでも良い変化があれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。