私が働く施設では月に5回ほど先生に来ていただき、「書道クラブ」を行っています。
今回は、書道をしている時の利用者様の様子と書道がもたらす効果についてお話しさせていただこうと思います。
目次
書道って何?
書道(しょどう)または書(しょ)とは、文字を書くことで文字の美しさを表そうとする東洋の造形芸術であると言われています。
それは、書道を行うときに多くのことに注意を払う必要があるからです。
半紙に書く文字の全体のバランを頭に描きながら、書き順どおりに書かなければいけなしことや一筆ごとに「はらい」や「とめ」などに気を配らないといけません。
また、文字を書く時の筆のかすれ具合、筆にかける力加減などを工夫していくと呼吸が整い、リズム感が生まれます。
このことから、書道は芸術であるといわれています。また絵を描くということが苦手な方にも書道=文字を書くことは様々な年代の方や特に年配の方に、日ごろからしたしみがあり芸術の中でも取り入れやすいと言われています。
書道で期待できる4つの効果!実際の様子は?
➀精神統一!集中力が高まる!!
書道で文字を書くということは、一筆一筆集中して書かなければいけません。
この繰り返しが集中力を高めてくれるのにこうかがあるといわれています。
実際に、利用者様が行っているときにもいつもは落ち着きがなく不安な表情をされている方や帰宅願望が強くいつも「〇〇に帰らないと」、「ここからどう帰ったらいい?」、「タクシーは何処で乗れる?」と言いながらウロウロされて、エレベーター前で困っている利用者様がいます。
ですが、書道の時は半紙に向かい姿勢を伸ばし集中して一枚の作品を作成されています。
そして、作品が完成するととても満足した表情となりその後の表情も一時的にではありますが落ち着くように感じています。
②脳への刺激になり、鍛えられる
書道では、「とめ」、「はね」、「はらい」などのアクセントや文字のバランスを考えながら一文字一文字描くことが求めあれます。
また、手書きの文字には感情がこめられやすいです。
どんな風に書こうか、見本はどう書いているか、自分らしさを出すにはどんな工夫がいるのかなど、このようなことを書道では自然に考えることが出来ます。
このことが脳への刺激になり、脳を鍛えることが出来ます。
また、書道と認知症の関係については研究されており書道を行うと認知症の方の認知機能の改善につながり軽度の認知症の方にとても有効であるという結果も出ています。
③緊張を和らげてくれる
書道をしていると「気分が落ち着いた」、「なんだか心がすっきりとした」という経験をされた方はいないでしょうか?
文字を書くということは古来より行われてきたことですよね?
繰り返し行われてきた文字を書くということは人に癒しを与えるといわれています。
そして、文字を書き始めると“瞬時に我を忘れて書道の世界に没頭することが出来るという点!”これこそが書道の持つ癒しの効果といわれています。
また、墨の匂いにも人を癒す効果があるんですよ!
墨の匂いを感じながら文字を書くことが一番効果的です。
利用者様の様子からも表情が暗く、不安げな方が一枚の作品を完成させた後は表情が明るくなり笑顔も多くなっています。
「私が書いたのよ」「この字、難しかったの」、「ここはこうしたほうがよかったかな?」とお話ししてくださります。
④記憶を呼び起こすツールになる!
最後に4つ目の記憶についてです。
認知症の方は、短期記憶がとても難しくなります。
そのため、“さっき食べたご飯のことを忘れてしまう”、“人の名前や顔が覚えられない”ということになります。
ですが、ツールがあることで突然昔のことを思い出したり、例えば、書道をした時のことを思い出したりすることがあります。
利用者様も、飾っている作品を見てすぐは、「この字なんて読むの?」「私の名前が書いてある」と忘れたような反応をされ表情も不安げです。
ですが、作品が飾られた場所に何度もいかれているうちに、「そうそうわたしが書いたの」、「この字難しかったの」と笑顔が見られお話ししてくださいます。
記憶と作品繋がり、記憶を呼び起こすことは脳への良い刺激になっていると感じます。
まとめ
書道の大きな効果としては、取り入れやすい芸術作品であり集中して一つの作品を完成することが出来ること。
そして、文字を書き出来上がった作品を見て記憶を思い出すことで脳への刺激となることではないでしょうか。
字を書くことが苦手な方や嫌いという方もいるかもしれませんが、ほかの方法でも何か一つでも書道のような、集中して行え、穏やかな気持ちになれるそんな方法を介護の中に取り入れていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうござます。