認知症の方を看護させていただいていて一番怖いこと!
それは転倒です!
今回は、在宅介護・施設介護のどちらにも多い事故である「転倒」についてお話しさせていただこうと思います。
目次
1.認知症の方は転倒のリスクが高い!
認知症の方は認知症でない方に比べて2倍の転倒リスクがあると言われています。
これは、認知症に伴う平均バランス感覚の低下や空間認識能力の低下、危険認知能力の低下、下肢の筋力低下があるため転倒しやすくなります。
では転倒しやすい状況とは・・
➀突然背後から呼ばれた時
先ほども上げた平均バランス感覚の低下から、突然それも背後から呼びかけられると、振り向こうとしたときにバランスを崩し転倒してしまいます。
②下肢の筋力の低下
認知症の方は、低下もあり下肢の筋力の低下から転倒が多くなります。
私の働く職場でも、転倒は多く起こります。
③靴がうまく履けていない
靴の左右を間違えてしまう、靴のテープを止めていないということに加え私の施設でも多いのが靴の踵を踏んでいてつまずいた際に脱げてしまい転倒することです。
④椅子にうまく座れない
椅子に座ろうとしたとき、私たちは椅子の位置を確認し座れる距離まで近づいてから腰を下ろしますよね。
認知症の方は、空間認識能力が低下していることから明らかに離れているのに腰を下ろして座ろうとして転倒してしまいます。トイレでの転倒で一番多いのではないでしょうか。
⑤車椅子のブレーキを忘れる
私の施設でも多く原因で上がってくるのがこのブレーキ忘れです。
車椅子から立ち上がりトイレやベッドに座ろうとしたときには多くの動作がいります。
まず、目的の場所に移りやすい位置まで車椅子で行く→車椅子のブレーキをかける→フットレスト(足を置く台)を上げて開く→床に足をつける→手すりを持つ→立ち上がり方向転換をする→座りたい場所の突然背後から呼ばれた時
位置を確認し腰を下ろす。今あげただけでも多くの工程があります。私たちが何気なく行える!ということでも認知症の方にとってはこの一つ一つの動作を覚えるのは容易ではなくとても難しい行動なんです。
2.転倒を予防する対策は?
➀突然背後から呼ばれた時
これに対しては、介護者が気をつけていく必要があります。
後ろからとれも遠呼びかけるのではなく、声を掛けるときは必ず認知症の方の前に回り立ち止まってからお顔を見て声を掛けるようにするといいと思います。
②下肢の筋力の低下
筋力の低下に対する対応は、やはり動くことです。1時間でも動かすこと!!
・お部屋やご自宅に帰るまでいつもより少しだけ遠回りしてみる。
・ラジオ体操や下肢を重点的に動かす体操を取り入れる。
わたしが働く施設でも朝は必ず体操をしており一日のリズムをつけるようにしています。
足の体操はリハビリのスタッフと考え車いすでも行える体操やストレッチをしています。
転倒の原因が、下肢の筋肉が低下したことによると考えられるご利用者様にはこれに加え足の曲げ伸ばしや踵の上げ下げなど、開いている時間に声を掛けさせてもらいお話をしながら行っていただくこともあります。
③靴がうまく履けていない
靴がうまく履けない原因は、視力の低下や靴を履くときに手が届かない手先が動かしにくいという理由があると思いますが他に認知症の方は、失行といい靴の履き方がわからないという理由も靴を正しく履けない原因の一つと考えます。
介護用の靴を使用してもらうこと、踵を踏んでいるなど正しく靴が履けていないときには声掛けをすること、靴を脱いでいる時に踵を整え履きやすい位置に置くなど環境を整えることも大切です。
④椅子にうまく座れない
空間認識能力が低下することが大きな原因です。
椅子の手すりが低いようでしたら手すりを取り付ける(どこにでも置ける手すりもあります)など環境を整えます。
追加して、ご本人の拒否がなければヒッププロテクターというパンツ型のサポーター(クッション材)を使用し、転倒したときに大腿骨頸部骨折などの骨折を予防することも大切です。
⑤車椅子のブレーキを忘れる
目で見てわかるようにすることが一番です!ご本人は出来ると思っておられます。なので、「お手洗いの時は、呼んでくださいね」と言っていても中々呼んでいただけません。
「ナースコールを押してください」と張り紙をすることはもちろん、車椅子にテープで「ブレーキをしてください」と掲示しておくなど工夫をします。
車椅子にテープで掲示する際には、ご本人様とご家族様に了承をもらってから行うことも大切です。
最後に
転倒をしてしまい、頭を打ってしまった!骨折してした!!となるとご本人はもちろん痛みや苦痛、歩けなくなる、認知症の進行と様々なデメリットがあるのはもちろん介護者の気持ちもとても傷付いてしまいます。
予防をすることで防ぐことが出来る転倒はし少しでも減らいていければいいですね!
最後まで読んでいただきありがとうございます。