介護をしていて、服装に対するこだわりが強かったり、逆に服装に対する関心が無くなったときの対応は難しいと思います。
今回は、季節感のある服装が出来ない原因と対応についてお話しさせていただこうと思います。
目次
認知症で服装が正しく選べない理由は?
とても暑い日にもかかわらず「寒い」と何枚も重ね着をしてしまう。
真冬に半そでで過ごしている。
いつも同じ服しか着てくれない。
上着に足を通そうとされる。
介護をしていると、このような認知症の方に遭遇することがあります。
着替えは毎日のことですし、毎回このようなやり取りをしていると介護者はとても疲れてしまうと思います。
ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか?
それは、認知症の中核症状である実行機能障害(遂行機能障害)が原因です。
実行機能とは、目標を達成するために計画し予測をすること。また、衝動を抑制し困難な状況でもやり遂げる、思考を練り上げる能力のことを言います。
実行機能障害が現れると、目的をもった一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な機能が失われてしまいます。
例えとして、ボタンをかけ間違えたりするようになり、そのうち裏表を逆さに来てしまったり、洋服を着る方法がわからなくなるというような経過もこの実行機能障害から起こる症状の一つです。
私たちが普段何気なく着替えを行っていますがとても複雑な判断をしながら行なっているんです。
季節感のあった服へ着替えるための対応
季節感にあった服を着る
夏なのにセーターを着る、重ね着をする、冬なのに半そでで出かけようとする。
こういったときには、「ちょっと暑いですね。涼しい服に着替えませんか?」、「外は寒いので、上着を着ましょう。」など声掛けをしながら調整していきましょう。
そして、衣替えも大切な対応の一つです。
季節感の内服装をされる場合、認知症によるこだわりや体温調節が難しくなり「寒い」と感じ重ね着をされることに加えて、服やアクセサリーに対して興味がわかず無関心になり、目についた服を着ているということもあります。
ですので、介護で大変な毎日を送られているとは思いますが衣替えをし、季節に合った服をご本人に見ていただき選べる環境を作ることが大切です。
衣替えを行うときにもう一つ、ご本人と出来る場合は一緒に行ってみてください。
一緒に行うことで、ご本人が好きな服や服に対しての思い出をより深く知るきっかけとなりますし、認知症が進んで中々コミュニケーションをとることが難しくなった時にも関わりのヒントになり、対応がスムーズになるからです。
もちろん、認知症の症状や進行により思考が変わることもありますが、定期的に行うことでその時の好みを知ることにもつながります。
服の選び方
認知症によりこだわりが強くなるかたがいますが、その方にも、お気に入りの服や思い出の服があることが多くあります。
私が働く施設では入浴時に新しい服に着替えていただくのですが、入浴後に着る服を利用者様と一緒に選ぶようにしています。ただ、何種類もの中から選ぶのは混乱してしまう可能性もあるため、だいたい2種類程から選んでいただくといいと思います。
また、同じ服(同じ色や形)に強いこだわりがあり、着替えることが出来ないまたは拒否がある場合はご家族様にお願いし同じ色の服を何枚かそろえていただくこともあります。
最後に
暑いのに厚着をしているなど季節に合わない服装は、脱水症状や発熱などの体調不良の原因となりとても心配です。
まず、目につく洋服から季節感を引き出すためにも衣替えをして夏は夏の服、冬は冬の服とかならず分けるようにしてください。
見当識障害で夏なのに冬だと感じている可能性もあるため、出来るだけ四季に合わせた環境を整えてみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。