認知症の方の中には、みんながいる食堂などの場所であっても、人がいてもお構いなく服や下着を脱いでしまう方がいらっしゃいます。
そのような行為を「脱衣行為」と言います。
大勢の人がいる場所で、ましてや異性の前で服を脱ごうとされてしまうと驚きますし服を脱がないように必死になると思います。
今回は、この「脱衣行為」が起こる原因と対処法をお話しさせていただければと思います。
目次
服を脱ぐ!原因は?
脱衣行為には、6つの原因があるといわれています。
➀気温、体温の変化、暑い、眩しい
②体がかゆい
③服のサイズが合わない、苦しさ、窮屈感がある
④トイレやお風呂に行きたい、失禁、失便をしてしまった。
⑤服を脱いで、どんな服か確認したい。
⑥服を認識できないため、身体に触れるもの(服)が何か確認したい。
上記の原因の他にも、観光お変化によって混乱している時や、今自分がどこにいて何をしたらいいかがわからないときに起こるとも言われています。
人によって様々な原因があるため、なぜ服を脱ぐのか、脱ぎたいのかを考え対応することが大切になります。
服を脱ぐ!そんな時の対応は?
私が働く職場でも、服を脱いでしまう利用者様がいます。
今回は、Ⅿさんとさせていただきます。
Ⅿさんは、お食事のため食堂に行った時や体操のためデイルームに出た時に上の服を脱ぐ行為があります。
「ほかの利用者様や男性の方もいるので服をきましょう」と声掛けしもう一度、洋服を着ていただいていました。ですが、すぐにまた手を洋服の中に入れ次に見た時にはもう脱ごうとしているそして、また洋服を整える。こんなことの繰り返しでした。
この繰り返しでは、行動を止められているⅯさんにとっても、止めている介護者にとってもとてもストレスになってしまいます。
また、「脱がないで」とつい怒ってしまうこともあると思いますが、認知症の方には逆位効果になります。
対応としては、
➀なぜ服を脱ぎたいのか話を聞いてみる。
ご自身で訴えることが出来る方であれば、会話しを聞いてみてください。
服を脱ぐという行為には必ず原因があると考えるからです。
先ほどのⅯさんの対応ですがご自身で訴えることが出来ない方でしたので、スタッフで話し合ったり服を脱ぐ時と脱がないときの環境の観察を行いました。
観察していくことで、食堂やデイルーム、お部屋と関係なく洋服を脱ぐことがわかります。ですが、お部屋にいて電気を消している時だけ洋服を脱がないことがわかります
②場所の移動や訴えにあった場所に誘導する。
大勢の利用者様がいる前で脱いでしまうとほかの方も動揺してしまい、不穏になることも考えられます。
ですので、一度ほかの方の目がない場所に移るのも大切です。
また、トイレに行きたいやお風呂に入りたいという訴えがあり服を脱がれているのであればその場所に誘導し解消することで落ち着かれると思います。
Ⅿさんの場合は、うつむいている時や服を脱ぐ行為があれば一度「横になりましょう」と声を掛けお部屋に誘導し、ベッドに寝てもらい電気を消して過ごしていただきました。
もう一つの対応として、お顔を隠されるしぐさもあったためご自身のマフラーやスカーフを首に巻いておきそれでお顔を隠していただくことでほかの利用者様がいる前での服を脱ぐ行為が徐々に減少していきました。
③無理に着せない
無理に着せてしまうと、ご本人が服を脱ぎたい、ストレスがあって服を脱ぐという行為をしているため無理に着せないことが大切です。
私たちも、お手洗いに行くとズボンを下ろしてパンツを脱ぎますよね?
そんな時に誰かに無理やりズボンを着るように邪魔されたら…
当然、怒りが出ますしストレスのなると思います。
Ⅿさんの場合も、はじめ声掛けはしていますが服を着せてしまっていたため何度も繰り返すという状況になっていました。
まとめ
ここまでのお話しさせていただいた中で大切なのは、
なぜ「服を着たがらないのか」と認知症の方の気持ちになって考えること。
だと思います。
なぜ来たくないのか、はっきりと伝えてくれる方もいますし、かたくなに嫌だと言う方、ご自身の思いを伝えるのが困難な方がいます。
そんな時は、「なんでだろう?」と考え原因を考え対応していくことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。