認知症が進むと、暴言を吐いたり、暴れたり、物を壊すなどの暴力がみられることがあります。
今回は暴言や暴力の原因と対応について話させていただこうと思います。
目次
暴言・暴力が起こる原因は?
➀脳の機能低下(前頭葉の障害)で感情が抑えられない
私たちも起こることはあると思いますが、少し嫌なことがあってもその感情を表に出さずに抑えていることがあると思います。
ですか、前頭葉の機能に障害があると、感情を抑えきれなくなります。
また怒りや不安の感情を表にうまく表現できずなかったり、伝えれず暴言・暴力につながることがあります。
②失行・失認によりいら立ちがある
認知症が進行すると、物の使い方かわからなくなったり、着替えなど今まで当たり前にできていた動作にも混乱をきたすようになり、生活のすべてにおいて思うようにいかなくなります。このようなことが積み重なると、物にあたってしまったり助けてもらえないもどかしさから暴言・暴力へ繋がってしまうと考えられます。
③自分を守りたい
今までは出来ないことに対しても周りの人たちのフォーローを受けながら、自分で折り合いをつけてこれたことも、症状が進行したことにより自分では処理しきれなくなります。
今までできていたことが出来なくなってしまったことによる喪失感も大きいと思います。
初めからあった不安が強くなることで、周りのひとに対し恐怖を感じてしまうこともあるかもしれません。
暴言や暴力などの外の人や物に向けた攻撃性は、この恐怖から自分を守ろうとして起こっていると考えることが出来ます。
どんな時に暴言・暴力がおこるの?
それは、否定されたり、自尊心が気付いた時です。
私たちも、自分の意見が軽視されてリ、自分を否定されたような気持になったりするとイライラするのではないでしょうか。
認知症の方は、感情をおさえることが難しくなっており、常に漠然とした不安や自信のなさがあると考えられます。そのため、不安を感じた時や自分を否定された、自分の気持ちが尊重されなかったと感じることが起こると、暴言・暴力につながります。
暴言・暴力が起きた時の対応
➀怒らない
暴言・暴力は、介護を行う人にとっても精神的負担が大きいと思います。
入所して日が浅い人に多いのですが、実際に私も腕や二の腕を介助中につねられたり、暴言を吐かれたりと経験かあります。
ですが、この行動が認知症の方からのSOSなんだよと教えていただいてからは暴言・暴力という表面的なことに振り回されることが少なくなったと思います。はじめて言われた時は「なんでこんなことを言われないといけないの?」と落ち込み、利用者様に対しても怒りを感じたこともありました。
介護者も痛い思いをすればこの感情も当然です。ですが認知症の症状の一つでSOSなんだと考えて一旦落ち着く時間を持ち自分の感情を落ち着かせてから再度関わることが大切です。
②無理になだめようとしない
怒りや不安の気持ちを落ち着かせるかかわりは大切です。ですが、怒りを表している時には簡単に収まりません。無理に落ち着いてもらおうと関われば関わるほど悪化させてしまうこともあります。
私たちも、怒りを落ち着かせるときには、信頼している人に話を聞いてもらったり一人の時間を持つと思います。
認知症の方も同じです!安全におひとりで過ごせる空間や温かい飲み物を提供し落ち着いていただくのも一つの方法です。
そのうえで、ご本人が落ち着いてからゆっくりお話を聞く、言動の背景を探っていくことで暴言・暴力の解決に努めるのがよいと思います。
③パーソナルスペースに配慮する
認知症のケアで、「タッチング」というコミュニケーションの方法があります。ですが、怒りを感じている時には効果はありませんよね?逆に、離れてほしいと感じると思いますしに触ることは避けたほうが良いです。
怒りが表面化している時の注意はパーソナルスペースにいつも以上に注意しすることだと思います。
自分に置き換えてみた時も、怒っている時に相手にあまり近づいてきてほしくないですよね?
認知症の方はこの感覚が非常に敏感になっているためより注意が必要です。
最後に
暴言・暴力を受けた時、受けたことに対して悲しくイライラした気持ちを感じます。認知症やご本人様からのSOSであることを理解し落ち着けるようにはなりましたがなかなか納得できるものではないですよね。私は、イライラした後に、イライラした自分がとても恥ずかしく落ち込んだこともあります。
ですが、私たちがそう感じることは当たり前のことです!
話しても理解してもらえないため、認知症の症状なんだということと自分自身の感情の折り合いをつけるのはとても難しいですし、イライラしてもいい落ち込んでもいい、一旦離れて落ち着いてから関われればいいと考えています。
私は、認知症の方に安心して過ごしていただける環境や時間の提供が出来ればと考え、このことは忘れないようにし関わらせていただいています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。