前回は「被害妄想編」被害妄想とは?をお話しさせていただきました。
今回は、被害妄想に対しての対応をお話しさせていただきます。
目次
被害妄想に対しての対応!5つのポイント!!
➀否定も肯定もしない
妄想や幻覚は、本人にとっては真実であるため、否定も肯定もしないことが基本になります。
妄想は訂正不可能なもののため、いくら事実を説明しても余計に混乱させてしまうだけとなります。
つい否定したい気持ちになってしまいますが、自分が思っていないことを信じてもらえないという想いは、さらに猜疑心(人を疑う心)を強くしてしまう可能性があります。
ですが、肯定もよくありません。肯定してしまうと、思い込みがさらに深くなってしまうからです。
肯定も否定もしないというスタンスを保ちつつ、「〇〇がなくなったんですね」と本人にとっては事実であるということを受け止めるのが大切です。
②感情に焦点を当てる
妄想はご本人にとっては「事実」です。認知症のケアでは本人の話をよく聞くことが重要とされています。ポイントは、妄想の内容を掘り下げるのではなく、妄想によって起こっている感情に終点を当てて話を聞くことです。
ご本人は、被害者意識を持っています。私たちも「自分は悪くないのに、こんなひどい仕打ちを受けている」と感じたら…どんなふうに接してほしいですか?
具体的に聞かれるよりも、まずは「それは腹立つね」「それはつらいね」と言ってもらえるほうが自分の気持ちを理解してもらっていると感じませんか??
内容ではなく、どんな気持ちなのか探り、寄り添うことが大切です。また、どんな言葉をかけてほしいのか想像し声掛けをすることも大切だと考えます。
例えとして「〇〇がなくなったんですね。いつからないんですか?」と掘り下げず「〇〇がなくなったんですね。それは心配ですね。」というように感情に寄り添うことが大切です。
③話の輪の中に入ってもらう
被害妄想の背景に多いのが、自分がないがしろにされていると感じているということです。
話の内容が理解できない不安や焦りが引き金となることも多いと感じます。
そのため、ご家族の方と話すときには一緒に聞いてもらい本人にもわかりやすく説明することも大切だと考えます。
④安易に「大丈夫」は言わない
不安に感じている人に「大丈夫ですよ」と声をかけるとき注意したいことがあります。
それは、安易に使わないことです。大丈夫という言葉だけでは安心につながらず「何で大丈夫なんて簡単に言うの!」となってしまいます。
大切なのは、まず話をよく聞くこと。
ご本人の感情に寄り添い話を聞くことで「大丈夫」という言葉が初めて安心につながり受け容れてもらえると思います。
⑤最後まで話を聞いてから話題を変えてみる
教科書に対応として“話題を変えてみましょう”と書いています。ですがこれだけでは不十分で話題を変えるタイミングがとても大切になります。
無理やり話題を変えようとされたら不信感をかんじますよね?
話題をかえるときは、話を最後まで聞きこの話を続けても本人にとって良くないと判断したときに少しつ話題を変えていくといいと思います
まとめ
被害妄想で介護者が一番つらいのは、標的になるのが一番身近な介護者であるのではないでしょうか。
私たち施設職員も「あなたが盗ったんでしょう」「返して!泥棒!!」と何度も言われるととてもつらくなりますし、それがご家族様でしたら悲しくてイライラしてしまうと思います。また、違うといっても聞き入れてもらえず修正が難しいのが特徴です。
私もまだまだ対応については勉強の日々です。余計に興奮させてしまい、ご利用者様が夜寝れなくなってしまったりほかのスタッフにフォローに入っていただくこともあります。同じように対応しているつもりでも言葉尻が違っていたり前はうまくいってもその時のご利用者様の気持ちの変化で違う反応が返ってくることもあります。
これが正解ですよ!というものがないのが介護です。介護者側もつらくなる前に話せる人がいること助けを求める環境を整えれているといいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。