②介護保険について教えて?
④行動(認知症症状)に対しての対処法は?~排泄編~
今回は介護の質問④「行動(認知症症状)に対しての対処法は?~徘徊編~」
をお話しさせていただきます。
目次
徘徊とは
見当識障害や記憶障害などの中核症状やBPSD(行動・心理症状)の影響や、ストレスや不安などが重なって、あてもなく歩き回る行動を「徘徊」と言います。
施設(自宅)の中や外を客観的には目的なく歩き回っているよう見えますが、ご本人にとってははっきりとした目的があることが多くあります。
徘徊が起こる原因は?
中核症状の影響
記憶障害
直近のことを覚えられなくなるため、最初は目的をもって出かけても何をしに来たのかを思い出せず、徘徊につながることがあります。
施設での例として、トイレの場所を忘れて探し回ったり、トイレに行きたくて歩きだしたもののトイレのことを忘れてしまい何のために歩き出したのかがわからなくなって歩き続けてしまうということがあります。新しく入所した施設の構造を覚えられず部屋を探して歩きまわることもあります。
「仕事に行かないと」と言って徘徊するケースもありますが、これも記憶障害が原因でご本人が感じている時代が過去に戻っているためにおこると考えます。
ある本に「感覚現実」と表記されているのを見たのですが私にはしっくりきました。
見当識障害
認知症が進行してくると、いつも使う道でも迷うことが出てきます。
これは、自分が今いる場所の位置や方向がわからなくなるためです。
同時に判断力も低下していることが多いため、道に迷っても人に聞いたり、電車に乗るなどの判断が難しくなります。
そのため家に帰ってこれなくなり周りの方に迷惑をかけてしまったり、注意力も散漫になるため事故にあいやすくなります。
ご家族様はここが一番心配ですよね!
心理面(不安や不快・焦燥感)
施設やデイサービスをご利用されている際に徘徊されている理由で多いのが「家に帰りたい」という気持ちだと思います。私たちも、初めての場所は落ち着かず、安心できませんよね?
安心でき落ち着ける「家に帰りたい」と思う気持ちは当たり前の感情だといえます。
施設職員としては、少しでも安心でき不満の解消に努めることが課題だと感じています。
身体面
徘徊には、便秘でおなかが苦しい、のどが渇いた、お腹が空いた、体がかゆいなどの身体的な要因も考えられます。自分でどうにか解決しようとしていたり、助けてくれる人を探しているとも考えられ、言葉で表現できないことを身体で表現しているのかも?という視点も大切です。
徘徊に対しての対応は?
➀理由を聞く
あてもなく歩いているように見えたら、「何かお探しですか?」「どこか行きたいところがありますか?」と聞いてみます。「トイレに行きたい」「○○を探している」と理由がはっきりすれば、その理由に対してできることをしていけば落ち着くことが多くあります。
理由も聞かず、静止したり「座ってください」と強制的に座ってもらっても落ち着きませんしより不安や不満が大きくなるだけです。
②安全を確保する
ご本人の歩行状態(車椅子での自操)や精神状態によりますがすぐ転倒やけがに繋がらないと判断したときはリハビリだと考えしばらく歩いてもらうこともあります。ただし注意力の低下があり少しの段差や障害物で転倒の危険は付きまとうため必ずほかのスタッフにもどんな状況(精神や歩行など)かどこに歩いて行ったかを情報共有し、危険があればすぐ声掛け・対応できる環境を整えることも大切です。
③体を動かす機会を作る
歩く=体力があるということだと考えます。私たちもずっと座っているということは苦痛でしかないと思います。レクリエーションへの参加を促すのはもちろん、徘徊をしている人が興味を持てる内容の工夫も大切です。あとは、余裕があれば散歩をしたり施設でしたら食器を洗うことやタオルたたみなどお手伝いをしていただくこともあります。
④休んでもらう
徘徊を続けていると、脱水や疲労など心配も出てきます。ご本人は中々気付くことが出来ないためご本人様の様子や時間を見て「お茶でも飲みませんか?」「少し休みませんか?」と声をかけさせていただくことも必要になります。
⑤迷わない環境を作る。
トイレやお部屋の場所がわからず徘徊している場合はご本人様がわかりやすい目印をつけておくことも有用です。以前試した例として、ご本人様のお持ちのぬいぐるみをお部屋の前に置いておくことやトイレのマークを付ける扉に“トイレ”と大きく表記するを試したことがあります。
まとめ
徘徊は介護者から見ると「ウロウロしないでほしい」、「転倒したらどうしよう」ということが先に出てくると思います。
ですが、まずご本人様に目を向けてみてください!
ご本人様が意思表示を出来ればそれに対して対応していけばいいです。
ですが、認知症が進み言葉で意思表示が出来なくなった時、○○だろうと想像しかできず、また対応が難しいため介護者のストレスや負担が大きくなると思います。そんな時は、○○かな?でいいと思っています。認知症の方が今、どの時代を生きどんな気持ちでいるのかを考えて共感してみる。それだけでも安心につながることが多くあると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。